スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

中村 弦 【天使の歩廊 -ある建築家をめぐる物語-】

天使の歩廊
第20回日本ファンタジーノベル大賞受賞作品。
やっと文庫になり、安く手に入りました。(笑)


明治末期~大正へ。
鹿鳴館で洋装の紳士淑女が踊り、
裕福なものたちは西洋風の邸宅を構えていた頃。
造家師(建築家)の笠井泉二が造る家は
「住む者の心を狂わせる」と噂されていた。

ある老子爵夫人が希望した家は
「死者と生者が一緒に暮らすための家」。
そして、厭世的な作家が依頼したのは
空間や時間の制約のない「永久に住める家」……。

異能の天才建築家による家は、人々をどこへ誘うのか。
笠井が造った家が起こした奇跡と
笠井自身の秘められた不思議なエピソード、
全6編による異色のファンタジー。


「家」ものといえば、綾辻行人による「館シリーズ」が浮かびます。
でも「館シリーズ」は、天才建築家・中村青司の造った家で起きる不可解な事件を
探偵役が解き明かしていくミステリーであるのに対し、
こちらはあくまで「家」が紡ぐファンタジー。
そうですね~…
「館シリーズ」では、あくまで家は器で、それ以上でも以下でもないけれど
(というか、家に住む人や訪れる人によって息づいている家ですね)
この本で語られる家は、家そのものが生きている…とでも言いますか。
いや、住む人の魂を吸い込んでしまう家、かな。
家として誕生した空間が、住人そのものになっていく…。
「住む者の心を狂わせる」というのは、確かに言い得て妙です。

出てくる家は、しっかり形状が語られているので
読みながら想像しやすく、その想像こそがキモと言ってもいいかも。
笠井の建てた家が読者の頭の中で組み上げられ、完成した時、
本の中の登場人物と同じく、自分も不思議な感覚に包まれているはずです。

明治末期~大正という、和と洋が入り混じった独特な時代の空気感も
その不思議感覚をよりいっそう、リアルに感じさせてくれます。
建築物もそうですが、出てくる人物たちも背景がしっかりしており
(多少ステレオタイプな面もあるのですが気にはなりません)、
この頃の時代小説としても楽しめると思います。
そして、タイトルにもある「天使」。
このキーワードが、笠井自身の謎にも関わってくるのですが
ヘンな宗教臭さはありませんのでご安心を。(笑)

読み終えて、頭に浮かぶのは
白い光の中に静かに佇む、夢のような家々と住人たち。
できるならワタシも笠井に家を建ててもらいたい、
あの光の中に身を浸していたい…と、
切なる望みを抱いてしまったのでありました。





スポンサーサイト

テーマ : 小説
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

エンジェル

Author:エンジェル
映画と本とマンガとアニメと音楽が生きる糧。
女いっぴき、猫ふたり。(タイトル盗用。笑)

カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム
あくせすかうんたー
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。